【この記事が「補助」になるのは、こんな方】
・お店、会社を始めるときの必要な手続きを知りたい
・会社を始める準備はできたが、何の手続きから始めればよいか?知りたい
創業の準備が整い(→「創業!これだけはおさえろ!」参照)いよいよお店・会社を始めるにあたり、どういった手続きがいるのでしょうか?
創業は、「個人」か「法人」のいずれかで行います。「〇〇株式会社」や「有限会社××」などと、”株式”や”有限”がついているのが法人、ついていないのが個人、です。違いは色々とありますが、大きな違いは、税金の納め方です。個人は、所得税、法人は、法人税となります。
法人、個人、どちらにおいてもメリット、デメリットがありますが、経験上、まずは個人で始めて、会社規模が大きくなったら、法人にするパターンが多いです。勿論、最初から法人を設立するケースもありますが、個人で始めた方が色々な面で制約が少ないです。
個人で開業する場合の届出書類
Ⅰ.国へ提出する書類
(1)個人事業の開廃業届出書(創後1か月以内)
創業したら「開業届」 を 管轄市町村の「税務署」に届け出ます。
人間と同じ、会社が生まれたことを、税務署に、届けるのですね。
意外と届け出ていない人も多く、事業を始めている人もいます。届出しないとどうなるか?これは日本の納税制度に関係しますが、事業者は、1年間の収入、支出の計算をして、その残額(利益)により税金を納める義務があります。届出せずにいるということは、結果的にこの納税義務を果たしていない、ということ。サラリーマンは、月給から税金を差し引かれることが普通ですので気づきませんが、結果として、税金逃れ、つまり「脱税」になるので、ご注意ください。「知らなかった」では済まないです。
提出先:納税地の管轄市町村の税務署
期限 :開業後1か月以内
申請書:開廃業届出書(国税庁ページより)
参考:国税庁ページ:個人事業の開業届出・廃業届出等手続
(2)青色申告の承認申請書
青色申告とは、税金を申告する時の2つある種類のうちの1つです。もう一つの「白色申告」と比べて、特典が多いことが挙げられます。
主な特典は、
①特別控除
・税金を計算する前の「利益(所得)」から最高で65万円差し引いてくれる。
つまり税金を多くとられない。
②専従者給与
・身内を従業員とする場合、本来給与は経費になりませんが、青色申告制度では経費として、
認められる。
③貸倒れや赤字の繰り越し
・売上先が倒産した時の損失を一部、経費にできる。
・また決算が赤字の場合、3年間繰り越せる。
つまり税金を負けてくれる特典がついています。より詳しく知りたい方は以下、参照ください。
それで、青色申告を希望する場合は、この承認申請書が必要となります。
提出先:納税地の管轄市町村の税務署
期限 :開業後2か月以内
(但し、その年の1月15日までに開業した方は、3月15日まででOK)
申請書:青色申告の承認申請書 と 書き方(国税庁ページより)
参考:国税庁ページ:青色申告承認申請手続き
(3)棚卸資産・減価償却資産の評価方法
この2つの届出は、これから始めようとする会社の資産をどのように評価するか?というもの。評価の大きな目的は、税金を計算(納めてもらう)するうえで、「基準」を示す必要があるからです。
棚卸資産というのは、商品在庫のこと。例えば、洋服店であれば、ブラウスやスカート、パンツなど売るために仕入れた商品。この商品の評価、つまり原価をどの基準にするのか?というもの。同じ商品でも時期によって原価が異なる場合もあり、その原価の基準を決めようとするものです。記入せずに提出した場合、原価法(最終仕入原価法)での計算となります。実際に使用するのは、「決算」時になります。
減価償却資産というのは、例えば、車やエアコンなど。これらは、買ったときに、買った金額総額が「一発」で経費になるわけでなく、ある一定の年数をかけて経費にしていきます。つまり、「ボロくなった分だけ毎年、経費として計上」するのです。
それで、提出しなければ、定額法 の償却となります。
提出先:納税地の管轄市町村の税務署
期限 :最初の確定申告提出期限まで
申請書:棚卸資産・減価償却資産 評価方法用紙と書き方(棚卸資産と減価償却資産 用紙は兼用)
参考:国税庁ページ
(4)専従者給与に関する届出書(希望する場合は3/15まで)
青色申告制度を選択し、専従者給与を経費に算入しようとする場合、届出が必要です。専従者とは、15歳以上(その年の12月31日現在)の事業主の家族、つまり一緒に暮らしている(厳密には、生計を一にしている、つまり家計を一緒にしている人)家族の従業員のことです。家族従業員は、青色申告制度でなければ、給与が経費として認められません。
提出先:納税地の管轄市町村の税務署
期限 :必要経費に算入しようとする年の3月15日まで
(その年の1月16日以後に開業した人や新たに専従者がいることとなった人は、
その開業の日や専従者がいることとなった日から2月以内)
参考:国税庁ページ
(5)給与支払事務所等の開設等届出書
従業員を雇用する時に届け出ます。従業員を雇用していなければ、提出の必要はありません。なお、よく質問があるのは、代表者である自分は、給与支給されないのか?というもの。答えは、個人事業主は「給与支給」というものはありません。
提出先 :納税地の管轄市町村の税務署
期限 :1か月以内
申請書 :給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書と記載要領
参考:国税庁ページ
(6)源泉所得税の納期の特例の承認(常時10人未満の子会社のみ)
この特例は、雇用人数が10人以下ならば、年2回の源泉所得税の納付で済む、というものです(毎月納付するという手間が省ける特例制度)。従業員を雇用していなければ(事業主1人の事業の場合は)、「給与支給」というものが無いので(確定申告による税納付のため)、この届出書は関係ありません。
提出先 :納税地の管轄市町村の税務署
期限・対象:常時10人未満の会社のみ
参考:国税庁ページ
Ⅱ.都道府県・市町村への提出書類
国(税務署)への届け出のほか、都道府県税事務所(都税事務所/府税事務所/県税事務所)には、「個人事業開始申告書(事業開始申告書、事業開始等申告書)」を提出することになっています。
また、同じく市区町村役場(市役所/区役所、町村役場)へも、「個人事業開始申告書(事業開始申告書、事業開始等申告書)」を提出することになっています。(ただし、地域によって県税事務所の1ヵ所へ提出するだけで済む場合もあります)
詳しくは、最寄りの県税事務所や市役所へお問い合わせください。
Ⅲ.労働保険、社会保険
(1)労働保険
1人でも従業員を雇う場合(パート、アルバイトも!)は、労働保険に加入しなければなりません。
労働保険とは、労災保険と雇用保険の2つを総称したもの。
労災保険は、仕事中に事故などがあった場合に、国が給付支給するために徴収されるもの。
雇用保険は、 失業されている方や教育訓練を受けられる労働者に対して、給付支給するために徴収されるもの。
どちらも、給与の中から徴収されて、国に預け、必要な時に使えるようにするのですね。
また、31日以上の雇用で、週20時間以上の働く予定の方は、「雇用保険」の手続きが必要です。
◆労働保険 申請書: 労働保険関係成立届(見本)
参考:厚生労働省ページ
◆雇用保険 申請書 :雇用保険適用事業所設置届 、雇用保険被保険者資格取得届
提出先、問い合わせは、近くの(管轄内)労働基準監督署、ハローワークまで
なお、よく勘違いされているのは「パート、アルバイトは手続きしなくてよい」というもの。労災保険は、業務中の事故などが起きた場合のケガなどの費用を国が負担してくれるもの。入っていないと事業主が負担することになるので週20時間以上働いていない、パート、アルバイトさんも「労災保険」に加入した方が良いです。
(2)社会保険
また、個人事業主の場合、「5人」以上雇ったら社会保険は「強制」加入になります。
(そもそも法人の場合は強制加入です)
社会保険加入は
提出先:管轄内の年金事務所
申請書:新規適用届、被保険者資格取得届、被扶養者異動届、国民年金第3号被保険者
の届出(必要があれば)
創業手続き まとめ
開業するときの手続き書類は、
1.国(税務署、労働基準監督署、ハローワーク)
2.県、市町村
と大きくは2つあります。
開業する、ということは、社会に「会社」を登録する、ということ。
この記事を参考に、手続きをしっかり行いましょう!
地域プラットフォームや最寄りの商工会・商工会議所などへも相談、確認しながら進めると安心ですね!