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中小企業が「生産性」を上げるため、の設備投資を応援します!
「ものづくり・サービス補助金」(通称:もの補助)は、主に設備投資のための補助金です。経済産業省から出されており、年によって変動はあるものの、平成24年から毎年1000億円規模で出されています。
基本的な要件として、中小企業を対象に設備投資また試作開発などの費用の1/2、1,000万円が上限になっています。
目的は?設備投資をする中小企業が対象
◆目的:中小企業・小規模事業者等が、革新的なサービス開発や試作品開発、生産プロセスの改善などにより「生産性」向上をはかるための『設備投資』を支援します。
(要項の参照と改編)
◆補助対象者:中小企業者また特定非営利活動法人、通称NPOと呼ばれたりします。
なお、申請のタイプは、2つあり、1.ものづくりに関する事業は【ものづくり技術】での申請、2.サービスに関する事業は【革新的サービス】での申請になります。
対象となる中小企業者:
製造業、建設業、運輸業・・・資本金3億円以下または従業員数300人以下
卸売業 ・・・資本金1億円以下または従業員数100人以下
サービス業 ・・・資本金5千万円以下または従業員数100人以下
小売業 ・・・資本金5千万円以下または従業員数50人以下
ほか組合などの要件がありますが(まっとうな?)商売をやっていて、大企業でなければ、上記にあてはまるのでは?
公募期間、申請方法、対象事業は?
◆公募期間:
2020年度実施分(令和2年度)からは、これまでは春先に募集が限られていたのが、年間を通じて行われるようになりました。具体的には、5回の締め切り期限を設ける形となっています。
1次締切:3月31日(土)17時 、2次締切:5月20日(水)
3次締切:8月3日(月)
(以下、 日程詳細は未定 )
4次締切:2020年11月、5次締切:20201年2月
◆申請方法:
申請は、電子申請システムでのみ受付
システムで申請するために、GビズIDプライムアカウントの取得が必要。アカウントの取得には2週間程度かかります。
GビズID: https://gbiz-id.go.jp/top/
電子申請システム Jグランツ:https://jgrants.go.jp/
◆補助対象事業および補助率等:
申請タイプは、上述通り、「ものづくり技術」、および 「革新的サービス」です。平たくいえば、ものづくり技術=主に、製造業、革新的サービス=主に、商業(小売・サービス)です。
事業類型は、「一般型」と「小規模型」となります。
1.一般型(設備投資)
一般型は、以下の通りです。簡単にまとめると「1,000万円を上限に、設備投資する事業」
・概要:革新的なサービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善に必要な設備投資を支援。
・補助上限:1,000万円
・補助率:中小企業1/2以内、小規模企業者・小規模事業者2/3
・補助要件:・付加価値額 = プラス3%以上/年
・給与支給総額 = プラス1.5%以上/年
・事業場内最低賃金 > 地域別最低賃金+30円
・補助対象経費:機械装置費、技術導入費、運搬費、専門家経費、クラウド利用費
2.その他の類型
一般型のほか、「グローバル展開型」(海外事業の拡大・強化等を目的とした設備投資等を支援)や「ビジネスモデル型」(中小企業30者以上のビジネスモデル構築・事業計画策定のための面的支援プログラムを補助) は、後日の公募となります。
事業実施期間と使える経費は?
◆事業実施期間
補助金を使っても良い期間は、交付決定日から10か月以内、です(ただし、採択(合格)発表から12か月後)。交付決定日というのは、採択(合格)した後に、国と契約を交わした日、つまり採択(合格)したらすぐに補助金を使えるわけではなくて、採択後「この日から経費を使っても良いですよ」と、改めて国が認める手続きがあり、それからのスタートとなります。
◆補助対象経費:
★機械装置費・システム構築費
以下の購入、製作、借用などに要する経費が対象となります。
①機械・装置、工具・器具(測定工具・検査工具、電子計算機、デジタル複合機等)
②専用ソフトウェア ・情報システム
③①もしくは②と一体で行う、改良・修繕または据付けに要する経費
★技術導入費(上限額:対象経費総額の1/3)
知的財産権等の導入に要する経費
★専門家経費 (上限額:対象経費総額の1/2)
依頼した専門家に支払われる謝金や旅費
★運搬費
運搬費、宅配・郵送料等に要する経費
★クラウド利用費
クラウドサービスの利用に関する経費
★原材料費
試作品の開発に必要な 原材料
★外注加工費 (上限額:対象経費総額の1/2)
試作品の開発に必要な原材料等の再加工・設計及び分析・検査等を外注する場合
★知的財産権等関連経費 (上限額:対象経費総額の1/3)
・試作品等の開発成果の事業化にあたり必要となる特許等の知的財産権等の取得に要する弁理士の手続代行費用
・外国特許出願のための翻訳料など知的財産権等取得に関する経費
公募の流れ~どうやって申請するの?~
以下の番号手順で申請をしていきます。
①公募・事業計画書申請 (募集期間中に、事業計画書=申請書を作成し申し込みます)
申請手順:①GビズIDの取得→②電子申請システムにログイン→③事業計画入力→④送信
②審査 (申し込み先で審査が行われ、合否が決められます)
③採択通知 (審査に通ったら、採択通知、つまり合格の連絡が届きます)
④交付申請・交付決定 (合格連絡が来たら、あらためて交付申請(つまり契約、を結ぶ)の手続きを行います)
⑤補助事業開始 (事業実施・実績報告)
⑥確定検査 (事業実施後に、適正に事業が行われたか?提出書類の不備はないか?などの検査が行われます。その後、実際の補助金の金額(交付額という)が決まります。
⑦補助金の請求・支払 (上記の検査後、確定した補助金を事業者から請求し、その後、支払いが行われます)
審査項目~審査の内容は?~
補助金を申請した後に、審査が行われ、合否が決定されるわけですが、どのような内容なのか?計画(申請)づくりをする際、これら審査項目を把握しながら行うことが重要(合格につながる)です!
1.補助対象事業としての適格性
①交付決定日から10か月以内(採択発表日からは12か月後)の実施期間であること
(発注・納入・検収・支払等のすべての事業の手続きが終了していること)
②以下の要件を満たす3~5年の事業計画の策定。またその計画を従業員に表明していること。
いずれも、事業計画期間内において・・・
ⅰ.給与支給総額を年率平均1.5%以上増加(被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業・小規模事業者等が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合は、年率平均1%以上増加)
ⅱ.事業場内最低賃金を、地域別最低賃金+30円以上の水準へ
ⅲ.事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加
2.技術面
ここが、この補助金の肝になるところです。
①新製品・新技術・新サービス の革新的な開発となっているか?
以下、革新的サービス と ものづくり技術 の申請方法によるポイントをそれぞれ記載します。
【革新的サービス】
・中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドラインで示された方法で行うサービスの創出か? これは、Web上で示されています。
端的に、具体的手法として、付加価値向上、と 効率向上、があります。
★中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン
https://www.meti.go.jp/policy/servicepolicy/service_guidelines.pdf
・3~5年計画で「付加価値額」年率3%及び「経常利益」年率1%の向上を達成する取り組みであるか?
【ものづくり技術】
・特定ものづくり技術分野の高度化に資する取組みであるか。
こちらは、ものづくり技術分野においては「ものづくり高度化法」という法律に即した取組み、というのが必要ということです!
そして、革新サービス同様に、
・3~5年計画で「付加価値額」年率3%及び「経常利益」年率1%の 向上を達成する取り組みか?
②共通事項
・課題が明確であり、目標に対しての達成度の考え方を明確に設定しているか?
・課題の解決方法が明確かつ妥当であり、優位性が見込まれるか?
・補助事業実施のための、技術的能力が備わっているか?
革新サービス、ものづくり技術いずれにおいても、国の補助金なので、それぞれの法律やガイドラインに沿った計画づくりが求められます!
3.事業化面
(革新的サービス、ものづくり技術 共通事項)
能力:
・事業実施のための体制(人材、事務処理能力等)や最近の財務状況等から、
①補助事業を適切に遂行できると期待できるか?
②金融機関等からの十分な資金の調達が見込まれるか?
市場の規模:
・市場ニーズを考慮しているか。補助事業の成果の事業化が寄与するユーザー、
マーケット及び市場規模が明確か?
・クラウドファンディング等を活用し、市場ニーズの有無を検証できているか?
実行力:
・成果が、価格的・性能的に優位性や収益性を有し、かつ、事業化にいたるまでの遂行方法、スケジュールが妥当か?
費用対効果
・補助事業として、売上・収益の規模、その実現性が高いか?
4.政策面
・地域の特性を生かして高い付加価値を創出し経済的波及効果を及ぼし、地域経済の成長を力強く牽引する事業か?
・ニッチ分野において、グローバル市場でもトップの地位を築く潜在性を有しているか?
・バイオマス素材を用いた資源循環型プラスチック製品の開発等、環境に配慮した持続可能な事業計画になっているか?
2020年の加点項目 と まとめ
・加点項目とは、審査にあたり、有利になる項目です。つまり申請時点で取り組んでいるものや過去に実績があると、点が足されるものです。内容は、その年度によって異なりますが、他の制度の認定や承認を受けている場合などです。
【2020年実施分の加点項目】
①成長性加点:経営革新計画(都道府県の施策の一つ)の承認を取得している事業者
②政策加点:「小規模事業者」または「創業・第二創業後間もない事業者(5年以内)」
③災害等加点:
Ⅰ:新型コロナウイルスの影響を受けて、サプライチェーンの毀損等に対応するための
設備投資に取り組む事業者、または令和頑年度 台風15号および台風19号の被災事業者
Ⅱ:事業継続力強化計画の認定を取得した事業者
④賃上げ加点等 :
Ⅰ:給与支給総額を年2%以上増加させ、かつ、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+60円以上の水準にする計画を、従業員に表明している事業者。
Ⅱ:被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業・小規模事業者等が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合
なお、過去3年間にこの補助金制度を受けたことがある場合は、その回数に応じて減点されます。
【まとめ】
採択率(合格率)は、年度によって違いますが、概ね4割程度、という感じです。
この制度、もともとはものづくり企業のための補助金ということで始まりました。その後「商業、サービス業も使えないの?」という声も出て、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金、となりました。
つまり、補助制度としては、ひとつのメニューですが、ものづくり企業(工業)と商業・サービス業、の2つの制度が同じ名称の中にあるイメージです。
「ものづくり企業」と「商業・サービス業」では、申請するための様式も少し違いますが、いずれも、生産性向上や付加価値向上といった“価値”を高めることは共通しているようです。
★ものづくり企業 :自社の技術課題の解決 ⇒ 生産性向上
★商業・サービス業:革新サービスの展開 ⇒ 付加価値の向上